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IADL「庭管理・ゴミ出し・食後片づけ」問題点と対応方法

目次

家事動作とは?

前編でも説明したように、家事動作とは家庭に関する事柄全般を指すものと言われています。ただ、家事動作とは個人差が大きい為、一般的なIADL評価の一覧には含まれない項目もあります。今回は「5~7」について説明していきます。

1.掃除(居室・トイレ・風呂・窓・キッチン)
2.郵便物の管理(新聞紙をまとめるなど不用品の整理)
3.布団(布団敷き・布団干し)
4.風呂の準備
5.庭の管理(水やり・草抜き)
6.ゴミ出し
7.食後の片付け(食器洗い・食器収納)
8.仏壇の管理
9.来客の対応
10.自家用車の管理(車検保険関連・点検・清掃)
11.子供・要介護者の世話



庭の管理(水やり草抜き)分析

水やり分析

水やりに関しては、ホースを使う方法とジョウロを使用する方法の2種類が一般的だと思います。ジョウロに関しては、大きさにもよりますが、水が入ると相当な重さになります。身体の一方に大きな負担がかかる為、バランスが悪くなり転倒などのリスクが高くなります。

ホースに関しては、伸びたホースを跨ぐ際などは転倒に注意する必要があります。また、伸びたホースを回収(巻き取り式)する際は一定の上肢能力(ペダリング)が求められます。

草抜き分析

一般的には中腰位(股・膝・足関節可動域)にて長時間の作業が求められる為、負担の大きな動作となります。また、小さな草を摘まむような「巧緻性(指先の細かな動き)」。根の張った草を抜くような「ピンチ力(摘まむ力)・握力」なども求められます。

ゴミ出し分析

ゴミ出し(燃えるゴミ)の手順について以下のようになります。

  1. 水気の多い物は水切りを行う
  2. ゴミ袋の口を結ぶ
  3. ゴミ袋を集積所に持っていく

水切りを行う分析

地域のルールに沿ったゴミの分別が必要となります(水気を切る・包装を外す・中身を洗う)など。いずれの場合も手指の巧緻性など細かな動きが求められます。

ゴミ袋の口を結ぶ分析

柔らかいビニール袋を結ぶ為には、両上肢の協調性や巧緻性が求められます。

ゴミ袋を集積所に持っていく分析

生ゴミの場合などは結構な重さになる場合もあります。重いゴミを持ちながら集積所まで移動する為には、バランス能力など移動能力が求められます。

食後の片付け(食器洗い・食器収納)分析

食器洗い・収納に関しては以下の手順となります。

  1. 食器を水に浸ける(かける)
  2. スポンジに洗剤をつける
  3. スポンジで食器を洗う
  4. 食器の洗剤を水で流す
  5. 水切りラックに食器を入れる
  6. 棚に食器を収納する

食器に水を浸ける(かける)分析

スポンジで洗う前に食器を流水で洗います。様々な形状で濡れた食器を落とさないように把持する能力が求められます。

スポンジに洗剤をつける分析

非利き手でスポンジを持ち、利き手で洗剤の容器を持つ必要があります。洗剤を出す為の握力や両手の協調した動きが求められます。

スポンジで食器を洗う分析

非利き手で食器を、利き手でスポンジを持って食器を洗います。食器が濡れており、洗剤も付いている為、非常に滑り易くなっています。食器を固定する為の握力(ピンチ力)や巧緻性に加えて、両手の協調した動きが求められます。

食器の洗剤を水で流す分析

水道の蛇口を捻る動作に加えて、非利き手で食器を固定します。利き手で食器をゆすぐ作業や、両手で食器を固定してゆすぐ作業となります。いずれの場合も食器を固定する為の握力(ピンチ力)や巧緻性、両手の協調した動きが求められます。

水切りラックに食器を入れる分析

軽く食器の水気を切ってから、水切りラックに食器を移動させます。握力(ピンチ力)や両手の協調した動きが求められます。

棚に食器を収納する分析

水切りラックにて乾燥した食器を棚に移動させます。両手の握力(ピンチ力)や協調した動きに加えて、棚の収納する位置に応じた身体的能力が求めらます。例)⇒上段であれば上肢を上方に伸ばす(肩関節屈曲)、下段であれば上肢を下方に伸ばす(体幹前屈)やしゃがみ動作など。

庭の管理(水やり草抜き)対応方法

水やり対応方法

大型のジョウロを使用する場合はフラツキなど転倒のリスクが大きくなります。ジョウロを使用する回数が増えますが、小型のジョウロを使用することをオススメします。

ホースを使用する場合は、ホースが長くなるほど扱いづらくなります。「伸縮性ホース」の場合は水が流れる時以外は、軽く短いままなので扱いやすくなります。

草抜き対応方法

家事動作の中でも草抜きは特に負担が大きい作業となります。その為、以下の方法によって負担を減らしていく必要があります。

  1. 草が生えにくくする⇒モルタルなどで固める(業者に頼む必要がある為費用↑)。防草シートと砂利を敷く(自身でも可・費用→)。固まる土などで固める(自身で可だが費用は↑)
  2. 除草剤を使用する⇒液体除草剤(即効性あるも持続性なし)。粒剤除草剤(即効性ないが持続性あり)。庭木などの近くでは使用出来ないなどの問題もありますが、簡単に除草することが出来るので一行の余地ありです。
  3. 草抜き用の道具を使用する⇒様々な道具が存在していますが、立ったままで使用することが出来る道具の場合は、足腰の負担が少なく利用することが出来ます。また、充電式の草刈り機(簡単なタイプ)なども簡単に利用することが出来るのでオススメです。

ゴミ出し対応方法

水切りを行う対応方法

まずは、そもそもゴミを出さない(少なくなる)様な工夫が必要となります。簡易包装や中食(開封温めだけで食卓に出せる)などを利用することでゴミを減らすことが出来ます。

三角コーナーを使用するケースも多いですが、他の作業時に水がかかるなど衛生的ではありません。紙袋や牛乳パックを使用するなどして、都度処理するようにした方が良いでしょう。

また、効率はおちるk

ゴミ袋の口を結ぶ対応方法

簡単に結ぶ方法、例えば片手でも結べる方法などを検討します。手っ取り早く粘着テープなどを使用する方法もあります。※粘着テープの使用は自治体のルールに沿って利用して下さい。

ゴミ袋を集積所に持っていく対応方法

カートなどの利用を検討します。他にも、ゴミが少なくなるように生活パターンの見直しや、ゴミを溜めずにこまめに出すなどの工夫も効果的だと思われます。

食後の片付け(食器洗い・食器収納)対応方法

一番効果的な方法は食洗機を利用することです。食器洗い~乾燥~(一時的な収納)まで全てを担うことが出来ます。また、最近の食洗機は小型化が進んでおり、省スペースにて設置することが可能です。ただし、新規で設置する場合は出費が必要となる為、全員におススメできる方法ではありません。

食器に水を浸ける(かける)対応方法

シンクもしくは大き目の容器に食器を入れてから水を張ると安全に行うことが出来ます。

スポンジに洗剤をつける・洗う対応方法

上段にて説明したように、浸け置き洗いが効果的です。シンクなどに張った水の中に洗剤を入れて、水の中で洗ってしまえば、食器を落とすリスクも軽減することが出来ます。また、浸け置き洗いは節水にもつながります。

食器の洗剤を水で流す対応方法

こちらも同様に浸け置きでのすすぎが効果的です。汚れた水を入れ替えたうえで、浸け置きすすぎを行い、最後に流水ですすげば完璧です。

水切りラックに食器を入れる対応方法

水切りラックの設置位置(タイプ)が重要となります。①吊り戸下に設置するタイプ、②シンク置くに設置するタイプ、③シンク左右に設置するタイプなどに分けることが出来ます。

身体機能(障害の状況)によって設置位置を検討する必要があります。例えば、肩関節に可動域制限(肩を上げられない)がある場合は、①は避けた方が無難です。また、方麻痺など能力に左右差がある場合も検討が必要となります。

また、水切りラックは一時的な収納スペースとしても利用出来ます。頻繁に使う食器などは無理に棚に収納しないのも手だと思います。

棚に食器を収納する対応方法

最も負担(リスク)が少ない収納方法は、食器の「水平移動」です。シンクと同じ高さの棚に収納することが、身体的な負担や食器を落とすなどのリスクが少なくなります。

ただし、一般的に収納ス棚に食器を収納するスペースは上段や下段にあることが多くなります。頻繁に使う食器は中段にして、使用頻度の低い食器を上下段に設置するなどの対応が必要となります。

まとめ

  1. 水やりは、小型ジョウロや伸縮性ホースを利用するなど、軽量な物を利用して負担を軽減。
  2. 草抜きは、草の生えにくい環境整備を行ったうえで、除草剤や立ったまま草抜きが行える道具の使用を検討。
  3. ゴミ出しは、ゴミが出ずらい工夫を行ったうえで、カートを使用するなど負担を軽減。
  4. 食後の片づけは食洗機の利用が効果的。難しい場合は、水切りラックの設置場所や棚の収納位置を工夫。




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